なわとび競技/フリースタイル演技の作り方

なわとびの様々な技を組み合わせて演技行い、その出来栄えや難易度で競われるのがなわとび競技のフリースタイルです。

二重跳びやはやぶさと言った一般的な技だけでなく、フリースタイルなわとび特有のアクロバティックな動きも入れるのが特徴です。

この記事では、なわとび競技のフリースタイル演技の作り方について詳しく説明しています。

フリースタイルの技の練習

なわとびの技は何百とも何千とも言われています。たくさん技がありすぎて、何から練習していいかわからないですよね。

まずは小学校でも練習する「二重跳び」や「交差跳び」の練習からはじめましょう。慣れてきたらポーズの練習も手軽に取り組めるのでおすすめです。

さらにフリースタイル演技で使える技を増やしたい人は、基本9技から練習を進めていきましょう。

まずは学校で練習する技からはじめる

慣れてきたらポーズでキメる

バリエーションを増やしたい人は基本9技に進む

基本9技を練習する

ほぼすべての技は基本となる9種類の動きを組み合わせたり応用したものです。

なのでフリースタイル演技で使う技は、この基本9種類から練習をすると良いでしょう。基本の9種類が上手にできると、レベルの高い技に応用発展させやすくなります。

技記号を理解する

技記号とは、縄跳びの技を記号で表したものです。二重跳びやはやぶさなど、日本内でも技の名前がバラバラです。そこで海外でも使われている表記記号を理解してしまえば、間違いが有りません。

技記号の一覧

  • O: うでを開いてまわす
  • C: うでをクロスしてまわす
  • S: 身体の側面でまわす
  • , : 技と技の区切り

たとえば「OO」と表記した場合、1回のジャンプで2回うでを開いてまわす技になります。つまり2重跳びのことですね。また「CO」だと、1回目がクロスで2回目が開いてまわす技で、はやぶさのことです。

このように技記号をつかうと、より正確な動きを知ることができます。

(例)技記号の動き

  • OO 2重跳び
  • CC 交差二重跳び
  • OOC 3重跳びの最後の1回をクロスにする技

3重跳びの基本9種類にチャレンジする

基本の9種類は目新しい技も多いですが、3重跳びの基本9種類は小学校でもあつかうことがある技ばかりです。二重跳びが連続でとべる人、基本の9技がすべてできる人は、チャレンジしてみましょう。

とくに重要なのが「SCC」「SOO」「SSO」の3つです。この3つは次の項目で説明する基本の9技の発展・応用のときに使う動きになります。

また通常の3重跳びも跳べる方がバリエーションを増やしやすいので、まだ跳べない人はぜひチャレンジしてください。

基本9技を発展・応用する

基本9技の応用としてオススメなのが、2重跳び・3重跳びにすることです。とくにAS、CL、TSの3種類は発展がさせやすいので、ぜひチャレンジしてください。

またトード、EBはそれぞれ3重跳びの発展もかんたんで、3重跳びのトード(SトードO)はTJと呼ばれる有名な技です。

ほかにもSEBOやSOASなどに発展できれば、一気に技のバリエーションが増えます。

TJのお手本動画(SトードO)

基本9技の2重跳び応用動画一覧

基本9技の3重跳び応用動画一覧

演技をつくるコツ

なわとびのフリースタイル演技は、小さく作るところから初めましょう。

いきなり75秒の長さを作るのは難しいので、短い組み合わせ(ミニルーティン)をたくさん作り、パートを分けて演技を組み立てていきます。

また演技を作りには音楽が必須です。なわとびのフリースタイル演技では音楽の調和も点数に加味されるので、演技を作るのと同時に跳んでみたい曲を探しておきましょう。

小さく作って組み立てていく

作りながら音楽も選んでおく

ミニルーティンを作る

ミニルーティンとは8カウントで作った、小さな組み合わせのことです。ミニルーティンはいくつあっても困ることはないので、できるだけたくさん作っておきましょう。

また初めてミニルーティンを作る人は、なわとび実力検定「初級」の組み合わせが参考になります。

 

移動とミニルーティンで演技を組み立てる

フリースタイル演技では移動しながら技を跳んでいく必要があるので、ミニルーティンがいくつかできたら、移動の練習をします。

まずは図のように正方形を4つに分け、中央を含めて5つのポイントを作ります。各5つのポイントでミニルーティンを1-2つ跳んでから、次の場所に移動します。

この流れで5つのポイントをすべて移動するように組み立てると、75秒のフリースタイル演技が簡単に作れます。

おすすめなのが下の図のようなZ型の移動です。

演技の全体を完成させる

ミニルーティンと移動を組み合わせてフリースタイルの演技が組み立てられたら、あとは完成度を高めていく練習です。実際にすべての技を跳んでみて、問題点を解決していきます。

以下の点に注意しながら演技全体を確認しましょう。

フリースタイル演技のチェック項目

  1. 体力は最後まで持つか?
  2. 移動でロープは絡まらないか?
  3. ミニルーティンで失敗する技はないか?

とくに注意したいのが演技中の体力です。ミニルーティンのときは問題なくできていても、演技の中でやると失敗する技が増えます。

これは75秒という長い時間で体力を消耗するのが原因です。どうしても失敗してしまう技は勇気を持って変えていきましょう。練習をしていく中で体力がついて失敗なく入れられるようになったら、再び戻せばOKです。

演技をつくるコツまとめ

なわとびのフリースタイル演技は組み立てられたら完成ではありません。何度も繰り返し通しながら確認をして、失敗がなくなるまで練習を重ねましょう。

大会に出場する選手だと、はじめに組み立てた演技とまるっきり違う技になっていた!というのもよくある話です。

音楽の編集

フリースタイルの演技には必ず音楽が必要です。とはいえ、競技時間の75秒ピッタリという曲はそう多くありません。

なので必然的に75秒に調整するための音楽編集が必要になってきます。あなたの大好きな曲に合わせて、ノリノリで縄を回せば気分もアガりますよ!

おすすめの音楽編集ソフト

音楽編集にはパソコンソフトがおすすめです。有料のソフトもいくつもありますが、おすすめなのが無料でも使えて複数トラックを追加できる「Audacity」です。

Macを使っている人はデフォルトで入っているソフトでも十分に編集できるようですが、Windowsを使っている人はAudacityが一番使いやすいです。

慣れてくると音楽のテンポを変えたり2曲をつないだりと、複雑な操作もできます。無料ソフトでここまでできるのはAudacityだけかなと思います。

音楽の選び方のポイント

基本的には好きな音楽を選んで問題ありません。ただ、跳びやすい。跳びにくい曲はあります。跳びやすい曲はBPM130~140くらいがオススメです。

BPMとは?

Beat Per Minuitの略。1分間で何拍あるか?の指標で、音楽のテンポの速さを表す。

速い曲でも遅い曲でも跳ぶことはできます。ただ、どうしてもジャンプのリズムが崩れて失敗をしやすくなってしまいます。

音楽編集のポイント

音楽編集で気をつけるのは「曲の長さ」と「テンポ」の2つです。

もし全国大会など協議会に出場する場合は、厳密に制限時間が決められています。必ず何秒の曲にするか?を確認しておきましょう。

またおすすめの音楽編集ソフトの「Audacity」なら、曲のテンポを変化させることができます。普通のジャンプだけではなく、3重跳びや4重跳びをしたときにもリズムが合うか?を考える必要があります。

裏技的な方法として、曲が規定の時間に収まらない場合、1秒前後であれば曲のテンポを変化させると収めることができます。ただ、5秒以上を縮めると音程が変化してしまうので、最終手段として使ってくださいね。

まずは何からはじめたらいい?(入門者)

はじめてなわとび競技のフリースタイル演技にチャレンジする人は、どこから練習した来のでしょうか。ここでは順番にどの練習をして、どこをクリアしたら次に進んでいいか?を紹介します。

練習の順序

最初に練習するのは基本となる技です。二重跳びと交差跳びだけでも十分に演技をつくることができますが、余裕があれば基本の9技や3重とびの基本9技ができると、バリエーションが作りやすいです。

技がある程度跳べるようになったら、フリースタイル演技を作る練習をし始めます。いきなり自力で作るのが難しい場合は、お手本の演技をそっくり真似するのも良いでしょう。

初心者が一番つまずきやすいのが演技を作る行程です。できる技を増やすことも大切ですが、できるだけ早めにフリースタイル演技を作る経験をしておくことをおすすめします。

どの技を練習すればいいか?

まずは小学校で練習する「入門の技」を練習しましょう。基本9技や3重とびができなくても、フリースタイル演技は十分に作ることができます。

そして必ず練習してほしいのがポーズです。足で縄跳びを止めるV字ストップだけでもOKですが、ポーズはそこまで難しくはないので、バリエーションがあるとより良いですね。

もしレベルの高い技を練習するとしたら、TJ、SEBO、SOASあたりができるようになると理想的です。これらの技は単体でも使えますし、他の技への応用もききやすいです。

構成やり方(基本)

はじめて演技を作る人は、ミニルーティン+移動で演技を組み立てる方法がおすすめです。簡単でかつ実践的なフリースタイル演技を作ることができます。

とくに初心者は移動する動きに慣れていないと、うまくロープをコントロールできずに引っかかってしまいます。上手に移動しながら技を組み込む練習が必須です。

また構成の中で注意したいのが失敗と技のレベルです。演技を通してみてどうしても失敗してしまうパートや技は、思い切って技を入れ替えましょう。無理やり技を入れて流れを止めたり、ミスをしてしまうと減点の対象にもなります。

初心者のポイント

簡単な技だけでもOK、

フリースタイル演技を完成させることが一番大切

演技のクオリティを上げたい(経験者向け)

すでに一度は演技を創ったことがある人で、もっと高得点を取りたい・演技のクオリティを上げたい人はどうしたらいいでしょうか。

技を増やすのももちろんですが、目的に合わせてフリースタイル演技を構成できるようになる必要があります。ここでは経験者がさらにレベルアップするための方法を紹介します。

できる技を増やしバリエーションをつける

技が増えればそれだけ使える動きのバリエーションが増えます。バリエーションを増やす上でオススメなのが、すでにできる技以外のジャンルを増やすことです。

たとえば2重跳びや3重跳びが得意な人なら、アクロバットやリリースを練習するとかですね。アクロバットはなわとびだけじゃなく、体操の技術も必要になるので別で練習が必要な技です。

他にもバリエーションとしては基本9技の応用として、複雑に動きを組み合わせる技があります。見た目は似ているのですが、なわとび競技では違う技としてカウントしてもらえます。

より高い得点を狙いたい選手は、こうした細かく違う技のバリエーションを増やしていく必要があります。

点数で損をしない工夫

なわとび競技のフリースタイル演技で一番損をするのがミスです。リクワイヤードエレメンツも減点対象ですが、ミスは減点だけではありません。

たとえばレベル4の技をやろうとしてミスをした場合、ミス減点の2.5%だけでなく、本来もらえていたはずのレベル4(1.05点)を取り損ねてしまうのです。

もしこれがレベル5や6だったら本当にもったいないので、単発であっても高いレベルの技をできるだけミスをしないように入れることが重要になります。

とくに高いレベルの技を跳ぶのが難しい小学生~ジュニア選手の場合、1つの技の違いが大きく順位に関係してしまうので、丁寧に点数を取りに行きましょう。

音楽編集のコツ

なわとびの技術が上がってくると、跳びこなせる音楽の幅が広くなります。また音楽のアクセントや音色に動きを合わせたりなど、動きや表現にも個性を出せるようになっていきます。

曲の編集に少し慣れてきたら、曲中にある跳んでみたいパートや音を75秒の中に入れてみましょう。サビの部分を2回入れるとか、メロディの打楽器が好きだからとかでOKです。

この音に合わせて、この技がやってみたい!という感覚が出てきたら、上級者の仲間入りです。

もっと点数を取って勝ちたい(中級者以上)

大会出場経験があり、もっと上位を狙いたいガチ勢向けの練習方法です。見た目やパフォーマンス性ではなく、純粋に競技としての勝ちにこだわるための戦略を紹介します。

お得な技の見つけ方

なわとび競技のフリースタイル演技は75秒しかありません。なので入れられる技に限りがあります。

実際にトップ選手を数えてみると、多くても50個前後です。大半の選手が35個~40個程度で、思ったほど多くの技入れられません。

つまり、何を入れて何を入れないか?の取捨選択が上位に入るには重要なポイントになるのです。なんでもかんでも入れていたら時間がなくなってしまうので、以下のような基準で演技に入れる技を入念に選んでいきましょう。

入れる技の選び方
  • 失敗しないか?
  • 技に時間はかからないか?
  • 審判に点数をとってもらえるか?
  • 技のレベルは高いか?

プレゼンテーションで差をつける

プレゼンテーションには「アスリートプレゼンテーション」と「ルーティンプレゼンテーション」の2種類があります。

ルーティンプレゼンテーションは「音楽との調和」や「観客とのコネクション」といった抽象的な採点基準が多く、主観要素が強い項目なので対策を練るのがやや難しいといえます。

一方、アスリートプレゼンテーションは、練習と努力で点数を伸ばしやすい項目です。アスリートプレゼンテーションで減点対象になるのは主に姿勢なので、あなたができる技を実際に動画に撮影して「姿勢の綺麗さ」を確認しましょう。

着地やSの甘さといった項目を確認して調整するだけでも、十分に点数に跳ね返ってきます。

音や曲に個性を考える

ルーティンプレゼンテーションで戦略的に準備できるのが「音」と「曲」です。なわとび競技のフリースタイル演技では、衣装はほとんどがユニホームです。また小道具は使えないため個性を出す最大の見せ場が音楽なんです。

トップ選手の演技は個性的な物が多く、この人といえば!という持ち曲やジャンルがあります。曲は印象に残りやすいため、◯◯選手といえばこの曲!!という戦略的なイメージ作りをすることも可能です。

フリースタイル演技のルール

初心者や子どもがルールを理解するのは大変ですが、演技を作る上では必要になります。なのでまずは難度点とレベルの付け方から理解するのが良いでしょう。

入れている技のレベルが分かれば演技のおおよその点数がわかるので、自分がどのぐらいの位置にいるか?をつかむことができます。

また演技構成ができる中級者以上の人は、リクワイヤードエレメンツやミスの減点を減らして、演技全体のクオリティを上げる意識をすると良いですね。

無理に難しい技を入れるより、ミスなくきれいに通せる演技のほうが点数が出やすくなります。

まずは技のレベルの付け方を理解しよう

リクワイヤードエレメント、ミスの減点を少なくする

難度点の出し方

難度点は各技のレベルに付けられた点数を合計したものです。ただしレベル3以上の同じ技は、演技中の2回目以降は点数を加えません。

各レベルの点数は以下のとおりです。

レベル1 レベル2 レベル3 レベル4 レベル5 レベル6 レベル7 レベル8
0.18 0.32 0.58 1.05 1.89 3.4 6.12 11.02

 

たとえばレベル1の技を10個、レベル2の技を5個入れた場合は、以下のようになります。

0.18 x 10  +  0.32 x 5  =  3.40(点)

技レベルの決まり方

技のレベルは1つの技ごとに決まります。レベルは前まわし・後ろまわしで同じですが、前後で別の技としてカウントされます。技のレベルの決まり方は以下のとおりです。

基礎レベル + 付加レベル = 技レベル

基礎レベルとは、何重とびか?で決まります。単縄(シングルロープ)の場合だと、2重跳びでレベル1、3重跳びでレベル2、4重跳びでレベル3、5重跳びでレベル4になります。

付加レベルは腕の制限姿勢の変化で決まります。腕の制限とは足の下や背面などで回す姿勢のことで、片手制限と両手制限の2種類があります。おもな付加レベルは以下のとおりです。

おもな付加レベル一覧

片手制限:+1

両手制限:+2

身体の横回転:+1

クロスクロス: +1

※ほかにも複数あります

プレゼンテーションの点数の出し方

プレゼンテーションとは演技中の姿勢やフォーム、エンターテイメント性などを見る項目で、最大で60%の加減点になります。

またプレゼンテーションは見る要素によって「アスリートプレゼンテーション」と「ルーティンプレゼンテーション」に分かれており、加点・減点・そのままの3段階で評価をします。

最後にアスリートプレゼンテーション・ルーティンプレゼンテーションの平均が、プレゼンテーション全体の加減点割合になります。

ルーティンプレゼンテーション

おもに演技のエンターテイメント性や音楽との調和などを採点する。審判は2秒ごとに加点・減点・そのままの3段階で評価して、演技全体の平均がルーティンプレゼンテーションの加減点割合になる。

アスリートプレゼンテーション

おもに選手の姿勢や技の出来栄えを採点する。審判は各技ごとに加点・減点・そのままの3段階で評価して、演技全体の平均がアスリートプレゼンテーションのか減点割合になる。

リクワイヤードエレメンツの出し方

リクワイヤードエレメンツは演技中に入れなければいけない技の種類のことです。規定の種類を4技以上が必要です。1つの技で2種類以上の規定を満たす場合もあります。

ただし同じ技を繰り返しても1技としてしか認められません。

リクワイヤードエレメンツは1つ不足するごとに2.5%の減点になり、最大で30%の減点になります。

シングルロープの規定技

  • 2重跳び以上の技
  • 体操系・パワー系の技
  • ラップ・リリースの技

団体戦は「インタラクション」が加わります

ミスのとり方(減点)

演技中にロープを手から離れたり、体の一部で引っかかり完全に停止した場合は減点になります。

ただしロープが停止せずにギリギリ通しきれた場合や、手から離れたロープが再びコントロールされて戻ってきた場合ははミスになりません。

ミスは1回ごとに2.5%の減点になり、上限はありません。

フリースタイル演技のルールまとめ

フリースタイルでは75秒以内で行われ、難度点・プレゼンテーション・リクワイヤードエレメント・ミスの4つの要素によって点数が出されます。点数の計算方法は以下のとおりです。

フリースタイルの点数計算方法

 

難度点 x プレゼンテーション ー (リクワイヤードエレメントとミスの減点)

難度点以外は「%」で割合によって加減点される